日本語を使うことが楽しくなるほめ言葉を見つけてみよう

子どもが本を見せている絵

日々、とてもお忙しい中で、時間を見つけてお子様の日本語学習のサポートを行っている保護者の方々、また、生活の中でお子様たちとできるだけ日本語で話そうと努力されている保護者の皆様、とても大変なことだと思います。

日本語が生活の言語ではないので、子どもたちが楽しんで日本語の活動を行うことが難しい時期もあるかと思います。

その中で「効果的にほめる」ことで、なんとか子どもたちの「やる気」を維持するお手伝いができないかと書き進めてきました。

ということで、今回も前回に引き続き、子どもたちの努力をほめると言うことについて書いてみたいと思います。前回は子どもたちが「自分で考える努力」をほめようというお話をしました。今回は、子どもたちが日本語を使ってよかったと思えるようなほめ言葉ということを考えて書いてみたいと思います。

「できるようになったこと」ことを、小さな活動の単位でほめる。

さて、子どもをほめると言うことですが、簡単なようですが、効果的にほめるというのは本当に難しいです。以前のブログに書いたように、単に「あ〜、すごいね」と言うだけではせっかくほめているのに、子どもたちへの「やる気」という点からは逆効果になってしまうこともあります。

なのでほめるときには「何が良かったと思ったのか」ということを具体的に考えてみませんか。これ、簡単そうに思えるのですが、実際にやってみるとなかなか難しいと感じるかもしれません。

というのも、子どもたちの活動を見て、「わー、すごいな」「うれしいな〜」と思ったその気持ちは、心の底から反射的に出てきた本当の気持ちです。でも、その漠然とした気持ちを具体的な言葉で行ってみようということになると、どうしてそう思ったのかを少し深く掘り下げ、それを言語化するという作業が頭の中で必要になるからです。

先週、読めなかった漢字が読めるようになったからかな、楽しそうに元気に日本語を話してくれているからかな、お話の内容で使っている語彙が増えたからかななど、いろいろな理由があると思います。それを、明瞭に具体的に、そして最適なタイミングで子どもたちにフィードバックすることで、子どもたちの心に残り自信にもつながるように思います。

正しい答えが出なくても、それ以外で良かったところを見つけてほめる。

ご家庭での日本語での言葉がけや日本語学習というのは、果てしなく長く続く日々の活動です。なので、毎日、毎日「わ〜、すごいな」と思うようなほめる事がないかもしれません。また、もしお子様と一緒に日本語を勉強しているようでしたら、間違っているところやできないところが目についたりするのも当然のことと思います。そのような中で、ほめるというのは難しいことのように思われます。

まずは、ご自身のお気持ちに正直に「いいな」と思ったところをほめればいいのですが、それを日本語の学習といった視点だけに絞ってしまうと、バリエーションも限られていて、難しくなるように思います。

漢字は間違っているけれど、とても元気に書けている。いろいろと間違いがたくさんある文章だけれど、伝えたいという気持ちがよく伝わってきた。分からないということをきちんと伝えることができた、など。「日本語での「できたこと」だけでなく、それ以外のことでも、少し視野を広げてみると、子どもたちの行動の中に「いいな」「うれしいな」と感じることもたくさんあるのではないでしょうか。

また、「日」を「月」と読んでいるけれど、なんとなく同じカテゴリーの言葉とは覚えている、言葉の使い方は間違っているけれど、どこで聞いたのかよくそんな言葉を知っていた、などなど。正解ではないけれども、これから正解にたどり着くんだろうな、その途中の過程と思われる答えもあります。そんな答えが出てきたときも、「そうそう、よく曜日の仲間だと覚えていたね。」「そんな難しい言葉、よく知っていたね」とほめた上で、「惜しいんだけれどね、これはね、、、」と正しい答えを提示してもいいのではないでしょうか。

日本語がうまくできなくても、日本語の会話や学習の中で見つけたお子さんの良いところをほめてみませんか。そうすることで、「楽しい」「うれしい」「ほめてもらった」という感情と「日本語」がつながっていくように感じます。

本当でないことで無理やりほめない。

視野を広げて、いろんなことでほめましょうというお話をしてきました。ただ、ここで注意をしたいのは、「いいな」「うれしいな」「頑張ってるな」と思ったご自身の気持ちに正直にほめるということかなと思います。「いいな」と思っていないのに、ほめるためだけに無理やりほめても得るものはないかなと思います。

これは大人でもそうですが、いろいろなことに敏感な子どもたちでは尚更、「ウソ」をついてほめている、「いい」と思っていないのに口だけでほめているというのは、簡単に見破られるように思います。そして、そのような「ほめ言葉」は全く心に響きません。

本当ではないことでとりあえずほめて、これでやる気を高めようとしている「大人の都合」を子どもたちは敏感に感じることができると思います。なので、子どもたちがほめられて、自分自身で納得できるような「ウソのないほめ方」をしたいなと思います。

ご家庭での日本語学習は日々の生活の中での活動です。また、保護者の方が相手だと子どもさんたちも心を許して「いやだ」ということも多いかと思います。その中で「うまくほめる」というのは、口で言うほど簡単なことではないかと思います。なので、最初から完璧を目指さずに、ふと思いついたときに、こんな考え方もあったなと、どのようにほめようかな、どんなほめ言葉があるかな、と少し試していただければありがたいなと思います。

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