日本にルーツのある子どもたちへの継承語教育

データから見る子どもをやる気にするほめ言葉とは

「子どもをほめること」が大切だということは、みなさんもどこかで目にしたことがあるのではないでしょうか。

遠い昔には「スパルタ教育」なんていう言葉もありましたが、近年では子どもをほめることで、子どもの自己肯定感や親と子の信頼関係を高めようという考え方が主流となっていることは、皆さんもお感じのことと思います。

また、実際に日常生活の中で、お子さんをほめると、やる気がグッと高まったという経験をお持ちの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

ということで、今回、次回の2回に渡って、「子どもをほめる」ということについて少し考えてみたいと思います。

今回は継承語教育の学びの中で私が出会った「子どもをほめること」についての論文があるのですが、まずは、その論文で述べられている「ほめ方」についてのデータを簡単に紹介させていください。

ただ、「ほめる」だけでいいの?

さて、その論文では、子どもたちの「知性」をほめるよりも、子どもたちの「努力」をほめた方が、子どもたちの「失敗」に対する耐性がついて、結果的に「努力」をほめられた子どもの方が良い結果を残すということが示されています。

1998年に発表されたものなので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。「かしこいね」と言わずに、「良く頑張ったね」とほめようということになるのでしょうか。

小学校5年生の子どもたちを調べたこの調査では、最初の簡単な問題を解き終えた子どもたちに「よくできたね、かしこいね(知性)」「よくできたね、一生懸命、頑張ったね(努力)」と違った言葉かけをします。

その後、子どもたちは難しい問題をチャレンジするのですが(2回目)、もちろんうまく解けずに失敗を経験することになります。その後、3回目の問題に、それぞれのグループの子どもたちがどのような反応を示すのかを調べた結果を示しています。

ご想像の通り、「一生懸命、頑張ったね」とほめられた子どもたちは、3回目では「かしこいね」とほめられた子どもたちよりも、より難しい問題を解き、また問題を解くことを楽しむ傾向があることが報告されています。

大人数で行われた調査ではないので、一般論的にお話をするのは危ういかとも思いますが、それでも、皆さんの感覚的な経験ともあまりかけ離れていないように思うのですが、いかがでしょうか。

 

「かしこい」は最初から決まっているもの?

また、この調査結果の面白いところは、「頑張ったね」とほめられた子どもたちの方が、「かしこいね」とほめられた子どもたちよりも、「知性」は変えることができるものだと考えるようになったというところです。

子どもの頃を思い出してください。親に「勉強しなさい。」や「どうしてこんな点なの。」と言われた時に返す言葉のバリエーションの一つとして「どうせ、頭、悪いもん」なんていうのはなかったでしょうか。

自分の力で変えることができると感じているものに対して、大人であっても子どもであっても努力をするのであって、そもそも、この「変化の可能性」を感じることができないと、なかなか頑張ることはできないものです。

ということは、もちろん、先生や保護者の方々が、子どもたちの「努力」に対して肯定的な言葉かけを行うということはとても大切なのですが、あわせて、子どもたちにしっかりと「かしこい」ということは、最初から決まっているものではなく、努力によって変えることができるというメッセージを伝えることも大切なのかもしれませんね。

次回は、この論文の「ほめ方」を心に留めて、実際の私の授業で注意して行っている「ほめ方」について、またその感想をご紹介してみたいと思います。

参照:
Mueller & Dweck (1998). Praise for Intelligence Can Undermine Children’s Motivation and Performance. Journal of Personality and Social Psychology. Vol. 75, No. 1, 33-52

What can you do to promote a growth mindset in students? Mindset Works. https://www.mindsetworks.com/science/Teacher-Practices (as of 2020.02.21)

Visser (2020). Classic Study: The Undermining Effects of Intelligence Compliments

What can you do to promote a growth mindset in students? Progressfocused. http://www.progressfocused.com/2020/09/mueller-dweck-1998-classic-study.html (as of 2020.02.21)

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