「継承語」ってなに?

さて、突然ですが「継承語」という言葉をお聞きになったことはありますか。英語では「heritage language」と呼ばれるこの言葉、あまり日常で耳にする言葉ではありません。

しかし、もしみなさまが海外(日本国外)にお住まいで、ご家族のルーツの言葉である日本語をお子様に話してもらいたいとお思いならば、ご興味を持っていただける言葉かもしれません。

「継承語」についてはすでにいろいろな定義が様々な研究者によって紹介されているのですが、私がしっくりきているものをご紹介させてください。

継承語とは、、、

「家庭や家族、また所属するコミュニティの人々が話す言葉だけれど、生活をしている社会や教育システムでは主要言語として使われていないもの」*


まさしく、日本語が社会のメインの言葉ではない海外で生活をし、その中でお子様の日本語学習に奮闘されている保護者の方々は、この「継承語」というものに日々、関わっておられるということになります。

日本にルーツのある多くの子ども達が海外で生活をし、日本語を勉強しています。日本語が主要な言語ではない中での日本語学習、本当に大変です。もちろん、勉強をする子どもたちにとっても大変なことですが、その日本語環境を整える保護者の方々のご苦労を考えると、本当に頭が下がります。

そのようなご家族の思いに寄り添いたい、また、専門的な立場からサポートをさせていただきたい、そのような考えから、海外に住む子どもたちの日本語教育に携わっております。

子ども達が日本語、日本の文化や社会、さらに日本という国に興味を持つ、また自分のルーツやアイデンティティについて思いを馳せ考える、さらに自分の身近なことや社会の動きに関して自分で考えて自分の意見をいうことができる、そういった環境づくりをしたいと考えています。

海外で日本語を学び続ける難しさ

20年以上にわたり教育に携わる中で、様々な国で継承語を学ぶ子どもたちや外国語を学ぶ子どもたちのより良い学びについて試行錯誤してきました。また、長い海外生活の中で、日本にルーツがありつつも日本語の習得に必要性を感じていない子どもたちとの出会いがありました。

その中で感じるのは、子どもたちも保護者の方々も「現在の生活に必要ないのに、なぜ継承語を学ばないといけないのか」という問いへの回答を探しているのでは、ということです。

子どもたちが「楽しい」「役に立つ」と感じることのできる授業

基本的なことではありますが、まずは、子どもたちが「楽しい」「役にたった」と感じることができるようなレッスンを子どもたちと一緒に作り上げていかないことには、子どもたちの日本語学習は持続しませんし、せっかく学んだことも定着しません。

日本語を勉強し使えるようになることで、自分の生活が楽しく豊かになることを子どもたちに実感してもらうこと、また、子どもたちがあまり苦労せずに日本語教育を持続していくことができるような環境をご用意することを大切にしていきたいと考えています。

もちろん、そのような工夫があるレッスンは精神論だけでどうにかなるものではなく、専門的な知識と技術があって、初めて実現するものとも考えています。お子様にとって意味のあるレッスン作りができるよう、日々の研鑽が必要だと実感し実践しております。

加えて、日本語学習の時間に意味を見出せないという壁を乗り越える手段としてプロジェクト型言語学習**を活用したいと考えています。プロジェクト型言語学習とは、決められたテーマごとにプロジェクトを遂行する中で言語習得を目指す学習法です。

ここでは日本語を手段として捉え、プロジェクトを遂行する中で他の子どもたちとの間で行われるコミュニケーションを始めとする”行動力を伴った日本語習得”を目指します。また、同時に”子ども達が自分で思考し発信していく力”である「21世紀スキル」を育み、人間的な成長も目指します。

プロジェクトでは様々なテーマを取り上げ、子どもたちの「今まで知らなかった世界への出会い」、そして「自分の中の日本探し」をサポートします。子どもたち一人一人が新たな興味に出会い、自分の世界を充実させて可能性を広げていくことを願っています。

もし、私の活動にご興味を持っていただけましたなら、メールマガジンにご登録をいただければうれしいです。また、FacebookやInstagramでもお子様の日本語教育にお役に立てるような情報を発信しておりますので、ご訪問いただけるとうれしいです。

* カリフォルニア大学ロサンゼルス校全米継承語リソースセンターの定義に基づいています。
**状況に応じてプロジェクト型言語学習に類似するタスクベース型言語学習も使用いたします。

×
×

お買い物カゴ