日本国外で日本語を学ぶということは、多くの場合、生活にあまり必要のない言葉を学ぶことになるので、そのモチベーションの維持がとても大変です。そんなことから、楽しく学ぶこと、日本語学習が嫌いにならないようにすることを大切にして、私は日々のレッスンを行っています。
例えば「漢字の読み」や「語彙」のクイズを出した時に、答えの分からないお子さんは、横にいるお母さんに小声で答えを聞いたり、手元にある答えのプリントを見たりします。私はレッスンの中で、それを「よし」としています。というのも、そのような確認作業をすることも、学びの一つだと考えているからです。
ただ、それ以上に、子どもたちが、少し時間をとって自分で答えを考えて、それでも分からなかったり、間違えたときには、しっかりとその「自分で考えた・考えようとした」という事実をほめるようにしています。
これを気長にやっていると、面白いことに、答えをすぐに見たり聞いたりすることが徐々に減ってきて、「う〜ん」と目をクルクルさせて考えようとしたり、思い出したりしようとする時間が長くなってきます。
そして、そこで答えを思い出したり、思いついたときの子どもたちの達成感に満ちた顔を見るのは、日本語の先生をしていてとてもうれしい時の一つです。
また、小学校から中学校へかかるくらいの大きなお子さんだと、自分で文法のルールを発見したり、習ったばかりの表現について、「これはこんな時には使えるの?」といろいろと自分の中で考えて、多くの質問をしてくれるようになります。
受身的にレッスンに参加するのではなく、新しい知識を考えながら消化する過程を大切にしたいと思っています。