では、海外で生活をする子どもたちは、日本で生活をする子どもたちと同じように漢字を勉強しないといけないのでしょうか。私が感じる答えは「いいえ」です。
海外で生活をしている子どもたちは、月曜から金曜までは現地校に通っていることが多く、日本語で勉強するのは週末一度の補習校や継承語学校のみ、もしくは家庭での学習ということも多いのではないでしょうか。漢字を学習できる時間は日本の子どもたちと比べてとても限られています。この時間的な制約は大きいです。
ただ、私が、海外で生活をする子どもたちは、日本で生活をする子どもたちと同じように漢字を勉強しなくていいと思うのはそれだけが理由ではありません。
学習指導要領の学年別漢字配当表は、日本の子どもたちがそれぞれの年代で出会う語彙を元にして考えられているのではないかと思われます。また、おそらく国語の教科書や他の教科で出てくる漢字との兼ね合いもあるのでしょう。
でも、日本の生活にあわせて用意されたものなので、海外で生活をしている子どもたちの日常生活にはあまり出てこない語彙もあります。例えば、田んぼを見たことがない、また「田んぼ」という言葉を聞いたことのない子どもたちへ「田」の漢字を伝えても響き方が異なります。このように考えると、日本の学年別漢字配当表にこだわる必要は全くないと考えています。
また、動物が大好きな幼稚園のお子さんは、動物の漢字を知りたがり、次々と新しい漢字を教えて欲しいとたずね、次々と覚えていきます。このような状況で、本来ならば小学校4年生で習うべき漢字の「熊」を避ける必要は全くないのではないでしょうか。
楽しいと思う文字、覚えたいと思う文字から順々に覚えていく、という方法の方が記憶にも残りますし、楽しく学べるのだと考えています。